「な、何で……こんな石ころが――こんな所に？まあ、こんな石ころじゃ……役に立たないよね……って、どうしたんだよ――そんな真剣な顔をして……まさか、この石ころが役に立つかもって――思ってる訳じゃないよな――木下誠？」 「いや、それは単なる石ころじゃない。さっき、俺達に襲ってきたゴーレム達の残骸だ。おそらく、これを――攻撃対象にぶつけると爆発させる事が出来る。実際に、あの蜘蛛の化け物から優太が攻撃されているのを見たから――それは確かだ。何とかこれを――利用する方法がっ……」 引田が拾い上げたゴーレム達の残骸である欠片をジッと見ていた俺に対して、怪訝そうな表情を浮かべてくる引田だったが――俺の呟きを聞いた途端に怪訝そうな表情から僅かに真剣そうな様子となり俺の顔を真っ直ぐに見つめてくる。 「待てよ――ゴーレムは元々は泥で出来ている魔物のはず。だったら、この残骸に非常用として持ってきてる飲み水をかければ……また泥のように柔らかくなるってことは考えられない？周りに落ちている大小様々な残骸をかき集めて泥状に戻した残骸をこねて大きくしていって――それを、あの蜘蛛野郎にぶつければ少しはダメージが与えられる――かもね」 「…………ああ」 「だけど、それはそれとしても――問題があるのは分かってるよね、木下誠？いずれにせよ、此所からどうやって出るのか――だよ。亀裂部分はあるけど、それをどうやって僕らか出られるくらいの大きさまで広げて――此所から外へ出るか……だよ。それが解決しなきゃ――蜘蛛野郎に攻撃を仕掛けようとした所で、お話にならないよ」 ――さっそく、地面に落ちているゴーレムの残骸である欠片を拾い集めながら俺に対して問いかけてくる引田の言葉も最もだった。 ――何か、此所から出る方法はないものか？ 頭をフルパワーで回転させながら、俺も引田と同様に黙々とゴーレムの残骸を拾い集めていると――地面に落ちている欠片には小さなものだけじゃなく――握りこふしくらいの割と大きめのものまであるという事に気付く。 そして、ふと――半ば無意識のうちにズボンのポケットに手を入れた時、以前――呪いがかけられていたクロフォード城で敵と戦った時に使用したライターが入っている事を思い出したのだった。