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繭腹の中での反撃③

――バシッ……!! かつて、ダイイチキュウの学校に通っていた時は野球部のピッチャーだったとはいえ――やはり、久々に投球してみたせいなのか充分な威力は出せなかった。 そのため、俺が渾身の力を込めたつもりで投げた野球ボールのような形のゴーレムの残骸が此方へと弾き飛ばされてしまう。未だにゴーレムの残骸についた炎が燃えているため――それを受け止めるのに躊躇してしまう。 しかし、あの裂け目の亀裂部分を広げない事には永遠に外からは出られず――大切な仲間達とも二度と会えない――。それは、つまり――このまま……不気味な蜘蛛の形をした化け物の繭腹の中で、引田と共に永遠に魂を縛られ身も心もこの塔に置き去りにされてしまうという残酷で惨めともいえる運命が俺らを待ち構えているという事だ。 (――いや、そんな運命はご免だ……っ……そんな運命を受け入れるくらいなら――俺の手が火傷したって構うものか……威力が足りないのなら――それをする事で運命を変えられるのなら……火傷しようと怪我をしようと何度でも投げ続けてやるっ……) ――バシッ…… ――バシュッ……バシッ…… ――パシッ…… 既に、俺の手は――今も尚、燃えている野球ボールのような形のゴーレムの残骸を裂け目に向かって投げ続けている事により真っ赤になっいた。このまま、投げ続けていれば手の皮がベロベロに剥けてしまうかもしれない。 炎が尽きることなく燃え続けているゴーレムの残骸を何度も投げ付け、その度に何とか受け止めながら、このまま投げ続けていても終わりが来るのだろうか――と少し不安に思っていた時――、 ――ビキ、 ――ビキッ……ピキ…… ――ビキッ……メリ……メリッ…… 遂に、繭腹の裂け目が徐々に――だが、確実に音を立てながら開いていき――やがて、俺と引田が外へと出られるくらいの大きさまで広がっていき穴が空いていくのだった。

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