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繭腹の外での反撃――その後①

※ ※ ※ ――ドォォォォンッ……!! ミストから状態異常専用の回復魔法をかけてもらったおかけで、徐々に激しい頭痛と――まるで世界がぐる、ぐると目まぐるしく回っているような感覚に陥ってしまう程の強い目眩が緩和されていき、ついさっきまで朦朧としていた意識は鮮明になってきた。 そうとはいえ、少し油断してしまうとすぐにそのまま眠ってしまいそうになる僕の耳へと――けたたましく響き渡る大きな爆発音が聞こえてきたせいで思わず眉を潜めてしまう。 そして、おそるおそる先程まで【操り人形・蜘蛛ノ形】がいた筈の場所へ――ゆっくりと目線を移す。そこには、【操り人形・蜘蛛ノ形】の姿が見えず――その代わりといわんばかりに、繭腹の中へと囚われの身となっていた愛する誠と僕の大切な仲間である引田が安堵した表情を浮かべつつ立っているのだった。 「ま……誠……っ……!!それに、引田もっ……無事で良かった……本当に……良かった!!」 「優太……優太……っ……!!」 「優太くん……体調は大丈夫なの――って……結局は――木下誠の方が大事なのか……まあ、暫くは……二人でイチャイチャしてればいいんじゃない?」 地面で横になりながら休んでいた僕が急に勢いよく起き上がり、回復魔法をかけてくれていたミストが目を丸くしながらジッと見つめてくるのは分かっていたが、愛する誠の無事な姿を見た僕は――どうしても、これからしようとしている行動を止められない。 ――愛する誠の暖かい体をギュウッと抱きしめる僕を脇から見ていた引田が呆れたような表情を浮かべつつポツリと呟いてきたのだ。 そんな引田には申し訳なかったが、とにかく――今の僕は愛する誠が無事に此方へと戻ってきてくれた事が嬉しくて堪らない。本当なら、誠にキスをしたかったけれど――流石に人前でする勇気はないので、それは止めておいた。 他の仲間達も――僕と誠が抱きしめ合うやり取りを見て、仕方ない――と言いたげな表情を浮かべて呆れつつも黙って見つめてくれていた。 ――だから、僕らは気付かなかったんだ。 ――戦いが、まだ完全には終わっていないという重大な事に。

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