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繭腹の外での反撃――その後③
――崩れ落ちた瓦礫の隙間から此方を不気味に見つめてくる血のように真っ赤な瞳が二つ。
――ドンッ、ドドンッ……
――ドン、ドンッ……ドドンッ……
何処かから――太鼓の音が響き渡ってくる。
その太鼓の音が合図だというように瓦礫の隙間から――先程、引田と誠によって倒されたと思っていた筈の【操り人形・蜘蛛ノ形】が瓦礫の山を力尽くで掻き分け――そのまま高く飛躍すると、またしても呆然と立ち尽くしている僕らの目の前に立ちはだかる。
先程、引田と誠によってダメージを与えられた【操り人形・蜘蛛ノ形】の顔は元々は市松人形のようなものだったということすら分からなくなってしまうくらいにボロボロとなり顔の大半が剥がれ落ちて崩れてしまっている。
ドンッ……ドドンッ……
ドドッ、ドドンッ……!!
またしても――太鼓の音が鳴り響く。すると、僕らの目の前に立ちはだかっている【操り人形・蜘蛛ノ形】だったモノでボロボロに崩れてしまっている存在に――とある異変が起こるのだ。
――グルンッ……
再び太鼓の音が辺りに鳴り響いた途端に、顔がボロボロに崩れた蜘蛛がガタガタと身を震わせたかと思うと、次の瞬間――今迄は市松人形のようだった顔がぐるりと一回転し、今度は般若の面のように恐ろしい顔へと変化したのだ。
その容貌は――まるで、引田から渡された画用紙に描かれている僕と想太が――かつて世話になっていた施設の女性職員のようだった。
元の市松人形のようだった顔がボロボロに崩れ落ちてしまったにも関わらず――般若のように恐ろしい顔へと新しく変えてまで、再び僕ら一行の前に立ち塞がったのは何故なのかは理解出来ないが――それには、きっと理由がある筈なのだ。
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