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朝――そして、謎の宝箱④
ポンッ――!!
ポンッ―――ポン!!
「う、うわっ…………なんなんだよ……急に宝箱から飛び出してきて……って、これ……ぼくが以前の世界で見てたアニメ《魔法少女・アイドリーナ♪》の主人公3人の衣装じゃないか!?どうして、宝箱か……こんな物が―――?」
「まったく、ふざけたことを申すでないぞ――愚かなニンゲンよ。それが、汝の我に叶えてほしい願いごとであろう?ほれ、そこの《ユウタくん》とかいうニンゲンと《ミスト様》とかいうエルフと《ライムス》とかいうスライムにその召し物を着てもらい、傷ついた心を癒してほしいのじゃろ?我は汝の事などお見通しじゃ!!」
「なっ……なっ…………なんて事を言うんだ!?ぼくが、フリフリの白いレースが沢山ついて、しかも淡いピンクや水色や黄色のミニスカな、いかにもオタク受けしそうなこのアニメ衣装を優太くんやミスト様やライムスに着てほしいだって?ましてや、ぼくを癒してほしいだって!?いいや、そんな事1ミリたりとも望んでないっ……だいたい、そんな願いを……すんなりと聞いて貰えるはずが……な……い…………っ……」
―――ぎゅっ!!
ふいに顔を真っ赤にしながら慌てふためいて喚いている引田の後ろから、《ミミック坊や》の中から勢いよく飛び出してきた【魔法少女・アイドルーナ】のキャラクターである三姉妹のうちの【次女・るる】が着ている淡い黄色の衣装を無言で黙々と着替えたミストが強く抱きつき、そのまま優しく抱き締めた。
「ほら、引田……これで…………満足!?」
「ご主人様、次は私の番ですよ?私だって……ご主人様を……癒してあげたいですから!!」
「え、えっと……引田……僕にも、これくらいなら出来るから……元気出してね?それと、もうひとつの引田の願いを叶えてあげられなくて……ごめんね……っ……」
【次女・るる】の淡い黄色の衣装を着たミストに引き続き、今度は【三女・るり】の水色の衣装を着たライムスが引田の頬へ軽くキスをした。
そして、最後に可愛らしい女の子が着るようなアニメの衣装を前にして羞恥心を抱きつつも何とか【長女・るな】のピンク色の衣装を着た僕が既にミストとライムスから慰められ、僅かにデレデレとした表情を浮かべて鼻の下を伸ばしている引田へと近づいて――まるで親が子に対してするように優しく彼の頭を撫でてやるのだった。
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