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朝――そして、謎の宝箱⑤

「おい、そろそろ――先に進んでもいいか?いつまでも此処にいても埒があかない。その、ヒキタとやらの願いは……とりあえず叶ったのだろう?」 「ああ、そうだね――ガルフさんは大切なエルフを探しに来たんだもんね。それに、ナギを助ける為にも……早く先に進まなくちゃ。それじゃあ、このアイドルーナの衣装を脱いでから………って……あれっ………!?」 少しだけ遠慮がちに、ガルフが引田に抱きついていたり、頭を撫でている僕らへと言ってきた。確かに、ガルフの言う事も一理ある。ずっとこのままこの場所にとどまっている訳にはいかない――。そう思った僕は、ミストとライムスがアイドルーナの衣装を脱ごうとするのと、ほぼ同時くらいに行動に移した。 ――3人の内、一番最初にその異変に気付いたのは、ミストだった。そして、真っ青になりつつ、僕とライムスの方をチラッと一瞥する。 「ど、どうしよう…………この衣装には着た者の肌に張り付いて永遠に離さない《チャセックの呪い》がかけられてるよ?本来なら……ミストみたいな魔法使いは解除魔法を習うけど……ミスト、この解除魔法……師匠から教わってないから為す術なしだよっ……!!」 「チャセックの……呪い!?」 ――普段は冷静で判断力の早いミストが珍しく涙目になりながら、僕とライムスへすがってきたため、僕もライムスも驚いた表情を浮かべながら、互いに顔を合わせてしまう。 正直、僕もライムスも――そして他の皆も《チャセックの呪い》とやらを、どうやって解いたらいいのか――皆目検討もつかないのだ。そもそも、そんな名前の呪いがあるという事さえ、僕は初めて知った。想太の口からも、そんな奇怪な呪いの事は一度も聞いた事がない。 (こ、このまま衣装を着て、先に進むとしても、肝心の呪いを解く方法が解らなければ……永遠にこの衣装を着たままになる。それだけは、勘弁してほしい……でも、魔法や呪いに詳しいミストでさえ……為す術なしなんて一体、どうしたら……っ……) ――心の中で悶々と葛藤している時、 「そんなに、不安がるでないぞ――愚かなるニンゲンよ!!チャセックの呪いの件は我が何とかしてやろう!!」 今まで、僕らの様子を傍観しているだけだった《ミミック坊や》の、どことなく偉そうな声が辺りに響き渡るのだった。

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