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~《ミミック坊や》の思惑どおりに事は進む~

「え、でも…………何とかしてやるって……一体、どうやって!?」 「それを答える前に、我からも……お主らニンゲン共に頼みがある。それを叶えてくれたら《チャセックの呪い》を解いてやろうぞ!!」 ――ビュッ!! 僕が《ミミック坊や》へと怪訝そうな表情を浮かべながら尋ねると、急に険しい顔をしたサンが《ミミック坊や》のいる場所ギリギリに弓矢を放ち、それは《ミミック坊や》の顔面すれすれの場所をかすめて通り過ぎ、やがて床へと落ちていった。 「こ、この――偏屈で野蛮なエルフめ!!い、いきなり何て事をするのじゃ……我の美しい顔面に傷がついたら如何するつもりなのだ!?」 「…………黙れ、忌々しい奇怪な魔物め――貴様は一体……何を企んでる!?言っておくが……次は外さぬぞ?」 ――ギリ……ッ ――ギリ、ギリッ…… 尚も弓矢を構え、険しい顔を崩さぬままサンが《ミミック坊や》へと冷たい口調で言い放つ。すると《ミミック坊や》は勘弁してくれ、と言わんばかりに一度、宝箱の中へと己の身を隠して暫くすると、再び宝箱の中から出てきた――美しい碧眼の瞳から溢れんばかりに涙を溢しながら――。 「――降参じゃ……その野蛮なエルフの勘の鋭さには感服致した!!我は確かに訳あってお主らを騙した。そのヒキタというニンゲンの願いを利用し……《チャセックの呪い》をかけた衣装をその3人に着せて我の願いを叶えるまで逃げられないように、と企んだ。しかし、そうでもしなければ……我の願いは叶えられぬのだ。それに、それに――この先に閉じ込められている大勢のニンゲン共も救われはせぬ……っ……」 「ち、ちょっと待って!?今、この先に閉じ込められているニンゲン共って言ったの?それ、どういう事――この塔に捕らえられているのは、エルフ達だけじゃないの?」 「我も、よくは知らぬのだが――ある時から急にこの先の部屋から大勢のニンゲン共の泣き喚く声が聞こえてきた――それも、どうやら、そやつらは――この世界のニンゲン共ではないらしい。その泣き喚く声が喧しくて、喧しくての。我は静かに暮らしたいのじゃ。毎日、毎日――あの悲痛な泣き声を聞いておると、此方まで気が滅入ってしまう。故に、この問題を解決できるようなニンゲン共を探しておったのじゃ!!」 これは、もはや《チャセックの呪い》で衣装が脱げないとか――そういう些細な問題だけではない。《ミミック坊や》曰く、この先の部屋にはエルフ達だけではなく、大勢のニンゲン達も捕らえられているらしい。つまり、ニンゲン達の命がかかっているのだ。そのニンゲン達を一刻も早く救わなくてはならない、と僕らは《ミミック坊や》の説明を真剣に聞きながら各々思うのだった。

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