※ ※ ※ ｷﾞ、ｷﾞｨ～…… その部屋は、先程セーラー服の女の子がいた部屋のように真っ暗で、何の音も――ましてや、セーラー服の女の子の幼なじみ兼クラスメイトだという男の子の声も聞こえてこない。 ――この部屋の中には誰もいない――かのように思えた。 「うわっ――なにこれ……気持ちわるい……これ……うさぎと……おおかみの……着ぐるみ！？しかも、ボロボロ……だよっ……！！？」 ふと、引田が部屋の中を探索している内に、とある物を見つけた。それは、うさぎとおおかみの着ぐるみで、元はピンクと焦げ茶色の着ぐるみだったのだろうが、かなり古いのか変色しているし――あちこちが継ぎはぎだらけになってしまっている。 そこから察するに――かなり、この場に放置されてしまっていたようだ。 先程までは物音ひとつしない真っ暗な部屋の中をﾋﾞｸﾋﾞｸしながら探索していた引田立ったというのに、その継ぎはぎだらけの着ぐるみ達を見つけた途端、まるで子供が新しい玩具に興味を抱くかのように――キラキラと目を輝かせながら、着ぐるみ達へと近付いて行った。 ﾊﾞｸｯ――！！ そして、そのまま何の疑問も恐怖も抱いていないような好奇心を露にした引田が色褪せたピンクのうさぎの着ぐるみに手を伸ばすと、そのまま悲鳴をあげる間も無く急に口を大きく引き裂いたピンクのうさぎの着ぐるみの中へと、まるで掃除機のように吸い込むかの如く、飲み込まれていってしまうのだった。