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離ればなれ②
【Im,full…………Im,full………Im,full……♪♪】
先程、優太と誠をその顔の不気味な穴で飲み込んだ赤頭巾人形は小鳥のように美しい声で、それだけを言うと――そのままミストと引田を飲み込んだピンクのうさぎの着ぐるみと同じように、それ以降は大人しくなり床へと座り込んでしまった。
「く、くそっ…………駄目だっ……うさぎの着ぐるみも……赤頭巾の人形も……あれから全く反応を示さない……どうすればいいんだっ!?」
ギャハハハッ……
アハ……アハハハッ……
キャハハ……キャハハハッ…………
普段は冷静で取り乱す事のないサンが、ここにきて珍しく動揺した表情を浮かべながら、ぼそっと小声で呟く。
すると、サンの動揺する様子を、からかうかのように静寂に包まれていた部屋の中のどこかから笑い声が聞こえてきた。
唐突に聞こえてきた謎の笑い声に気づき、サン・ガルフ・ライムスは――ほぼ同時に部屋の中を見渡して、笑い声が聞こえてきた以外に何か異変がないか恐怖と不安を抱きながらも慎重に確認する。
謎の笑い声が聞こえてきた方に、今まではなかった筈の箱が置かれていた。3人はおそるおそる、そして慎重に謎の箱へと近付いていく。
ギャハハハッ――
アハハハッ――キャハハッ
ハハハッ――
その甲高くて不快な笑い声は間違いなくその謎の箱の中から聞こえてくる。すると、箱の笑い声を不快に思ったのか、もしくは――いつのまにか置かれていた箱自体を不審に思ったのか――ガルフが何の躊躇もなくその謎の箱へと銃を構えてから弾丸を放った。
ガルフの弾丸は見事に箱へと当たり、そして弾丸が箱へ当たった途端に甲高く不快になるような不気味な笑い声が聞こえなくなった。
そして謎の笑い声が聞こえなくなったせいで、油断したライムスは興味本意から、その箱を開ける。
ビョォンッ――!!
キャハハ……ハハハッ……!!
アハハハッ……!!
すると、そのライムスの行動を待ってましたといわんばかりに、中からいかにも子供が喜びそうなビックリ箱のピエロ人形が勢いよく飛び出してくる。
「こ、こいつはっ……こいつは……本物の……《ミミック》かっ……くそっ……こんな場所で……こんな姿に擬態していたとはっ……!!?」
「くっ……こいつ……舌が長いのかっ……だ、駄目だっ……舌に……巻き付かれてっ……!!」
「……っ……舌が巻き付いてきて気持ち悪いデスっ……」
――バクンッ!!
その言葉を最後に――サン・ガルフ・ライムスは3人一緒にピエロ人形の、とてつもなく長い舌に纏めて巻き付かれて、そのままビックリ箱の中へと飲み込まれてしまうのだった。
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