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【夢見がちな女の子】と観覧車④ ※ミスト・引田side

ゴトン―― ゴトンッ―― 一定のリズムで緩慢に動いている、その正体に引田はやっとある物の存在に気付いた。それは、前の世界に存在していた《童話》をモチーフにした遊園地にあった《観覧車》だった。 今は存在する筈もない――とっくに廃業となった《童話》をモチーフにした遊園地【FAA】の観覧車は他の遊園地にはないような仕掛けが施されていて、中間点である場所に差し掛かると一旦止まり――遊園地の職員である案内人のアナウンスがあってから再び動くようになっていた。 ――ピタッ…… 唐突に今まで緩慢に動いていた観覧車が止まった。 【フフフッ………ギャハハハッ……よそから来たお客さん――気分はどうだい?これから、なおいっそう――いい夢を見させてあげるから期待して待っていてくれよ?おっと、夢見がちな女の子のいれたお茶を飲んでからだ。それを飲んだら――最高の気分になれる……さあ、良い夢を……】 【まあ、あのお方の美しい声よ。ねえ、うさぎさん?あのお方が――わたしとうさぎさんのいる、こちらへ来てくれたわ。まるで、夢のよう――やっぱり空想の世界はいいわぁ……】 【yes…………As says Alice…………】 ふと、ようやく先程の悪夢のような前の世界の住人である元クラスメイト達の声を聞いた事によるショックから、ようやく立ち直りかけていた引田の耳に【夢見がちな女の子】や【ピンクのうさぎの着ぐるみ】以外の新たな声が入ってきた。 甲高い機械音のような男の声だ――。 そして、その甲高い男の声を聞いた途端に引田の意思に反して【夢見がちな女の子】が持っている薔薇の香りのお茶が入ったコップに手を伸ばし、遂に口をつけると――ごくり、と一口飲んでしまったのだった。

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