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【ネムロ】の世界⑦ ※ミスト・引田side

【ギィィィッ……キィィィッ………ギィィィ~……!!】 唐突に【ネムロ】から目の中心を彫刻刀で勢いよく突き刺され、その【不気味な卵】は、口など無い筈なのに甲高い声で悲鳴をあげた。 想像しがたい程の痛みからなのか、咄嗟に目を瞑った【不気味な卵】は人間でいうところの涙を流しながら尚も苦しげな悲鳴をあげ続け、そして本来ならば有り得ない青・白・黒の混じった卵の涙は必然的に床にいて困惑した表情を浮かべているド・ネ・ドネーンで出来た【小さな貴族人形達】へと降り注がれた。 ビチャ―― ビチャッ――ビチャッ―――!! 相当な量の【不気味な卵】の涙が降り注がれた【小さな貴族人形達】は次第に姿を変えていく。そして、まるで何かに操られているかのように――周りにいる大勢の【小さな貴族人形達】が互いに合体し、やがて――化け物へと変貌していった。 【ヒヒーンッ――ヒヒーン――ブルルルッ――!!】 ―――この鳴き声を引田は幼い時に聞いた事がある。 ―――旅行で牧場に行った時に聞いた声だ。 ―――馬だ。 しかし、引田がおそるおそる鳴き声が聞こえた方へと振り返った時に目の当たりにした化け物の姿は、幼い時に見た馬とは明らかに違う異質の存在だったのだ。

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