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【ネムロ】の世界⑪ ※ミスト・引田side
(あいつらに……ミストの首をはねられる訳にはいかない。でも、一体……どうすればミストを助けられる!?どうすればミストにまとわりつく忌まわしい歩兵や……あの馬の化け物を消し去る事ができる?せめて、何か……弱点があればっ……いや、待てよ…………)
引田は改めて辺りを見渡す――。
そして、見つけた――。
ここは《かつて通っていた学校の旧校舎の美術室》――まだ使えそうなペンキ缶が沢山散乱していた。中には空っぽの物もあったが、迷っている暇はない。早くしなければミストの首が《ジャバッキーの歩兵》達が持つ武器によってはねられてしまうかもしれないのだ。
しかし、引田にとって周りを鬱陶しく飛び回る【ネムロ】と【作り物の女王】の存在が邪魔なのだ。ここで、考えなしに勢いだけで行動をしてしまえば、引田が行動をしようとしている事が奴等に気づかれてしまう。最悪の場合、引田がこれから何をしようとしているのか勘付かれて計画自体が台無しになってしまうかもしれない。
―――それだけは、何としても阻止しなければならないのだ。
引田は頭を忙しく巡らせながら必死で考える――そして、床に目を移した時に目に入ってきたのは《作り物の女王》から無惨にも首をはねられ、所在なさげにその場に未だ転がっている《作り物の王》の首だった。
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