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◇ひとあしお先に◇ ※ミスト・引田side

※ ※ ※ 引田が目を開けた時、その目に最初に映ったのは、心配そうに自分を見つめてくるセーラー服の女の子の今にも泣き出してしまいそうな顔だった。 「あ、あのっ……大丈夫ですか!?その……お連れの方も……っ……グッタリとして元気がないみたいでっ……」 「こ、ここはっ……!?良かった……無事に戻ってき……た…………んだ。は、早く……優太くん達を……助けに……行かないとっ……て……」 バタッ………… 引田は半ば強引に怠さと痛みが残る体を起こして何とか立ち上がると、優太と誠―――それにサンやガルフやライムスが囚われてしまっている【ピクリとも動かない赤ずきん人形】と【ピクリとも動かない色とりどりな見た目のビックリ箱のようなミミック】の方へと向かおうとするのだが、はりつめた糸がブツリと切れてしまったかのように倒れ込んでしまった。 「ああっ……だ、ダメですよ!!そんなに無理をなさっては……お連れの方は、こちらで私達が看病してますので……あなたも、どうぞ。」 「か、看病…………?」 「は、はい……まあ、とはいっても簡単な事しか出来ませんけど……うちのリーダーが頑張ってくれて……とても格好いい男の方なんです。そのおかげで、お連れの方も少し元気を取り戻せたみたいで……っ……」 ―――ジャリッ 「…………君がミストっていうエルフの連れか?さっきからずっと、君の名を呼んでいる……ヒキタって……君のことだろ?」 ふと、石を踏む音が聞こえたかと思うと――いつの間にか、側に一人の男が立っていた。この男が先程女の子が言っていたリーダーとやらなのだろうか? それとは別に、何故かは分からないのだが何処かでこの男を見た事があるような気がする、と引田は疑問を抱く。 「……引田は……ぼくです。あ、あの……急にこんな事を言うのは失礼ですけど……何処かで会った事はありませんか?」 「…………気のせいじゃないのか?俺は、君の事なんて知らないぞ?それよりも、君も少し休んだ方がいい。ほら、こっちに来い……ミストとやらも君を待ってる」 そのリーダーとやらの男の答えを聞いて引田は胸に引っかかりを覚えたのだが、ここはリーダーとやらの男とセーラー服の女の子の言葉に甘えて二人の後を追うことにしたのだった。

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