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【笛吹男】とメリーゴーランド ※サン・ガルフ・ライムスside
【ねえねえ、おじちゃん……あの狼みたいなおじちゃんも、ぐにゃぐにゃした柔らかいお兄ちゃん――もどうして、ぼくみたいな子供じゃないのに……メリーゴーランドに乗っているの?】
クイッ――
クイ、クイッ―――
(な、何なんだ……このニンゲンの子供は!?急に現れ、しかも訳の分からない事をっ……て……狼みたいなおじちゃんに、ぐにゃぐにゃした柔らかいお兄ちゃんだと!?まさか……っ……あいつらの事か……っ……)
メリーゴーランド――。
聞き慣れぬ単語を耳にして怪訝そうな表情を浮かべていたサンだったが、ふいに子供が指差した方へと目線を向けてみる。
~♪♪♪~♪~♪♪♪~
そこには辺りに鳴り響く軽快な音楽と共に上下に揺れるユニコーンに酷似した(おそらくだが)ダイイチキュウにいるであろう動物の上に跨がり、サンと同じく怪訝そうな表情を浮かべて困惑しているガルフと、それとは逆に何も考えていなさそうに満面の笑みを浮かべている人型になったライムスの姿があった。
仲間である二人の姿を確認したサンは咄嗟にユニコーンに酷似した乗り物から降りようとする。
―――しかし、
【ねえ、おじちゃん……どうして……どうして?どうして子供じゃないのに……ここにいるの?どうして?どうして?】
唐突にサンの側にいた筈の子供の姿が――変わったのだ。
―――ピエロのように赤い髪の毛。
―――ピエロのように満面の――それでいてどこか歪んだ狂気をはらんだ笑顔。
―――ピエロのように僅かに小太りな体躯。
―――ピエロらしからぬ胸元に金色のボタンがいくつかついた黒い服。
~♪♪♪~♪♪~
ズリッ――
~♪♪~♪♪♪~
ズリ、ズリッ――
~♪♪♪~♪♪~……………
ピタリ…………
子供の姿が変わってから少しした後、辺りに鳴り響いていた音楽の他に何かを引き摺るような音がサン達の耳に聞こえてきた。
そして、唐突に先程まで辺りに喧しく鳴り響いていた思わず踊りたくなってしまいそうな軽快な音楽と引き摺る音が――止まったのだ。
ガンッ――!!!
その途端、サンの後頭部を鈍い音と気絶してしまう程の凄まじい衝撃が襲い――そのまま意識を手放してしまうのだった。
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