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【笛吹男】と【ピエロ的ゾンビ男】とミラーハウス ※サン・ガルフ・ライムスside

「な、何だ…………っ!?いきなりヒビがっ……おいっ……ぐにゃぐにゃっ……すぐに、そこから離れろっ!!」 そのヒビが入った鏡の部分はサンとライムスが立っている場所から見て右側だ。そのため、一旦はヒビが入っていく鏡の右側部分へと目線を移したサンとライムスだったが、何の気なしにサンが鏡の真正面へと目線を戻すと――その後ろには、男の子が好むようなドラゴンの縫いぐるみと女の子が好むような魔物の縫いぐるみが先程と同じように置かれていた。 しかし、一点だけ――先程と違う部分がある。 この部屋に正体不明の輩から拐われる前に、メリーゴーランドでサンが出会った服以外はピエロのような格好の男が――通常では有り得ないツギハギだらけの口元を強引に開きつつ、不気味な笑みを浮かべて男の子が好むようなドラゴンの縫いぐるみの横に立っていた。 チラリ、とそのピエロのような男がドラゴンの縫いぐるみへと目線を送ると、ふいに身を屈め――その不気味なツギハギだらけの唇を縫いぐるみの口元へと近付けていき――そのまま、軽いキスをした。 その事に対して、なんだが嫌な予感を抱いて少しばかり不安に思ったサンは未だにヒビが入った鏡を操られてしまったかのように熱心に見つめ続けるライムスへと慌てて忠告するのだった。

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