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【笛吹男】と【ピエロ的ゾンビ男】とミラーハウス ※サン・ガルフ・ライムスside

【残念――ダディは怖そうなお兄ちゃんと、ぐにゃぐにゃのお兄ちゃんは、無理にはいらないってさ。あの狼のお兄ちゃんが――ダディはお気に入りみたい!!】 ドラゴンの縫いぐるみへ軽くキスをしたピエロのような口元だけではなく体中がツギハギだらけの不気味な男は、死んだ魚のように濁った灰色の淀んだ瞳で――かなり警戒しているサンとその隣でガタガタと身を震わせながら怯えきっているライムスへと――尚も愉快そうにツギハギだらけの口元をニイッと歪ませつつ言い放った。 と、そこで初めてサンとライムスは一時的とはいえ、仲間である筈のガルフの姿がないという事に気付き、余りの驚愕に目を見開いて呆然としてしまう。 サンにしてもライムスにしても、この部屋に拐われてきてから大切な仲間である筈のガルフの存在をスッポリと忘れてしまっていたのだ。 ――グニャ、 ――グニャリッ―― すると、ガルフの存在を思い出した途端に、この部屋に拐われてから襲われてきた《世界全体が回っているかのような感覚》が唐突に強まった。 【不死の口付け――ダディにそれをしろって命令されたんだからアダムは悪くないよね?アダムって――名前、生まれかわってからダディが付けてくれたんだよ。そんなダディのお願いを聞くのは悪い事じゃないでしょ?お兄ちゃん達に出来ればまた会いたいから――頑張ってね?】 ――ズンッ…… ――ズンッ――ズズン…… ――ズズンッ――― ふと、この部屋全体が揺れてしまいそうな程に大きな地響きのような音がサンとライムスの耳に入ってきた。 ―――ガッ!!! 「…………っ!!?」 「ライムスッ―――!?」 その地響きのような音が聞こえてきたため、慌てて周りを見渡すサンとライムス。しかし、辺りに広がるのは――壁にかかった一面の鏡と深い深い闇ばかり。 と、そんな二人を嘲笑うかように唐突に――鋭く光る大きな白銀の爪がライムスの隙をつき、彼の後ろから容赦なく襲ってくるのだった。

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