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【ピエロ的ゾンビ男】と【イビルアイの男】

▼ ▼ ▼ ▼ 【イビルアイ――イビルアイ!!何処にいる?お前がダディの前から本体を隠したせいで、愛しいダディに叱られたじゃないかっ――!!】 【笛吹男】達が一足先にパレードに行くために部屋を去ってから少しした後、怒りに震える【ピエロ的ゾンビ男】の低い声が辺りに響き渡った。 【ふん……いちいち、うるせえヤツだな。それにしても相変わらず笛木のヤツの事になると……人が変わったようになるんだよな~……夢々ちゃんは。まったく、本当に前の世界にいた頃と変わってな……い……っ……】 ―――ガンッ!! ふと、おちゃらけた【イビルアイの男】の声だけが聞こえてくると【ピエロ的ゾンビ男】が側にある檻を怒りに任せて思いきり蹴り飛ばした。檻の中には小さな白い兎が蹲ってガタガタと怯えているのが分かる。しかし、兎は鳴く事が出来ないので、せいぜい身を丸くして怯える事しか出来ない。 ギョロッ…… それが原因なのか定かではないが、その白い兎が入れられている檻が蹴り飛ばされたせいで床に落ちると、少ししてから【イビルアイの男】の本体―――不気味な赤い一つ目が空中に現れてから【ピエロ的ゾンビ男】の目の前までスーッと音もなく移動するのだった。 【おい、夢々ちゃんよ……お前はいつから抵抗すら満足に出来ない弱きものを虐げる最低野郎になり下がったんだ?】 【………………】 【お前が答えられないなら俺が答えてやる。この世界に来て、笛木のヤツの異常な願望を叶えるために命令されて、そんな姿になってからだろう?お前は笛木のヤツに支配されてるからな……そうだろう?】 ヒュッ――!! ヒュンッ――!! その言葉を聞いた途端に、今まで黙り込んでいた【ピエロ的ゾンビ男】はどことなく悲しみと怒りが混じったような複雑な表情を浮かべつつ、今度は机の上に乱雑に置かれていた本や怪しい色をした液体の入った瓶など―――とにかく色々な物を【イビルアイ】へと、ぶつけるために手当たり次第に投げる。 しかし、【ピエロ的ゾンビ男】がムキになればなる程、彼が物を投げる度に【イビルアイ】は愉快げにスイスイと移動しながら、それを避けるのだった。

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