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【笛吹男】と異形なる者達のパレード

なぜ、こんな所に――転々と白い綿のような物が落ちているのか、とサンが首を傾げる暇もなくライムスはどんどんと跳ねながら躊躇なく前方へと進んでいく。 その時、サンは急に嫌な予感がして思わず立ち止まってしまった。 ぞわり、と鳥肌がたつくらいに―――急に辺りの空気が冷たくなったのも勿論のことなのだが、それよりも悪寒を感じた原因が他にもあるのだ。サンは尚も先に進もうとするライムスを慌てて自分の方へと強引に引き寄せてから、眉を潜めつつ真っ暗な闇に包まれた前方へと目線をやった。 【グルルッ――グルル―――グガァァァッ――】 ―――エルフ達が連れ去られた村で聞いた覚えがある凶悪で怒りに満ちた唸り声。 ―――狂暴化したワーウルフの声だ、とサンは確信した。それに、先程からガルフの姿を見ていない。一緒に拐われた筈なのに姿を見せないという事はヤツラに捕らわれているのかと薄々は気付いていたサンは自然と顔が青ざめてしまう。 その唸り声は――まるで、逃げている誰かを探しているかのように此方へとゆっくりとだが確実に近付いてくる。サンは尚も先に進もうとしていて暴れているライムスを必死で抑えていて物音などさせていないのに――。 【――グルルッ――うまそうだ――うまそうな――スライムの――匂いだ――ニンゲンの子供より―――うまそうだ――】 ―――匂い。 ワーウルフは鼻がとてもきく魔物だとサンがハッと気付いた時には既に遅く――目の前には銀色の鋭い牙を覗かせダラダラと涎を垂らして片手にグッタリとした人間の子供を抱えている狂暴化したガルフが、ギラギラと光る金色の瞳でサンとライムスを睨み付けながら立っていたのだった。

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