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サンと凶暴化したガルフ

【ああ、うまそうだ――うまそうだ――スライムってのは、まだ食った事がねえからなぁ―――】 ―――【口】の風船が、怯えきってブルン、ブルンッと震えきっているライムスの目前で愉快げに呟いた。 ―――【目】の風船は何も言わず、閉じきったままだ。 ―――【鼻】の風船は相変わらずライムスの匂いを嗅ぎながらヒクヒクと動いたままだ。 【イビルアイ――その喧しい口をさっさと黙らせて――本来の為すべき事をさせるんだっ!!早くしないと――ダディが……っ……】 ――パチッ…… その【ピエロ的ゾンビ男】の苛立たしげな声が辺りに響いた途端、今まで閉じかれていた【目】の赤い風船がカッと見開き―――そして、クグッと【口】の風船の近くへと近付いていく。 すると、【口】の風船がまるで【目】の風船を恐れているかのように急に黙り込んでしまった。 ――ギリリッ ―――ザシュッ!! ――ザシュッ!! このまま駆け寄りライムスを救うよりも、この方がてっとり早いと考え、弓を構えたサンが【ピエロ的ゾンビ男】の持っている奇妙な風船に向けて矢を放つ。 ――――ズォォォォッ しかし、サンの放った弓矢が奇妙な風船に届く前に――今まで閉じかれて静かになっていた【口】の風船がガパッと大きく開いた。そして、僅かな抵抗さえする間もなく――そのままライムスは【口】の風船の中へと吸い込まれていって捕らわれてしまうのだった。

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