298 / 713
サンと【凶暴化したガルフ】
――ビュッ、
――ヒュッ!!
サンも、ただ――その場に呆然と立ち尽くしている訳ではない。
ライムスが【口】の風船から、まるで掃除機のように勢いよく吸われて中へ捕られられてしまったと理解した途端に、風船を割ってしまおうと弓矢を放つ。
しかし―――、
バインッ……
――ボヨンッ……!!
何度、弓矢を放っても風船が割れる事はなく――【口】の風船の中で苦しげな表情を浮かべているライムスの姿がサンの心に焦りを生むだけだ。
【――イビルアイ、本体のお前の出番だ!!あの邪魔なエルフを――何とかしてっ!!】
【うるせぇな―――てめえに、いちいち言われなくても分かってるさ】
今まで黙って状況を見守っていた【ピエロ的ゾンビ男】が、ふいに【目】の風船へと命令した途端――カッと見開かれ、そのまま意思を持っているかのように自然な動きで【目】の風船だけが、弓矢が当たらない事に対して驚愕の表情を浮かべているサンの目前まで迫ってくるのだった。
ともだちにシェアしよう!