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~いざ、仲間を取り戻すために~

《ヤマタノオロシ》が床に散らばっている選ばれなかった《記憶》の紙を八つに別れている首を下へ下ろしてから《湯血・笑爺》と同じようにムシャムシャと食べ始めた。 ゴクリッ…… と、選ばれなかった《記憶》の紙が全て食べられ最後の一枚を《ヤマタノオロシ》が飲み込んだとサンが理解した時には既に身動きが取れないまま、その場に佇んでいて憎らしげに唸り声をあげている【狂暴化したガルフ】の全身が金色の炎で包まれているのだった。 【グゥッ……グルァァァッ……!!! 金色の炎に包まれたガルフは、たちまち辺りに響き渡る程の大きな叫び声をあげ――そして、いてもたってもいられないといわんばかりに身を屈めて苦痛に堪えているようだった。 「ふぉっほっほ………大分、苦しげのようじゃのう。だが、安心するがよい。もう暫くすれば……お主の仲間を支配していた【ドッペル虫】とやらの姿も現れる。ん、お主……仲間の体を気遣っておるのか ?見かけによらず……仲間思いじゃ……よきかな、よきかな。安心せい、ワシの白金炎は熱くなどない。いわば、癒しの炎じゃ。昔から、治癒力もあるのじゃぞ。」 ―――ボォォォッ 《湯血・笑爺》が相変わらず飄々とした笑みを浮かべながらサンに向けて呟くと、その言葉どおりに暫くしてから苦痛に堪えながら身を屈めているガルフの体の一部分がボンヤリと光り始める。 ―――左目だ。 ガルフの左目が――光っている。 おそらく、忌々しい【ドッペル虫】最初からガルフの左目に潜んでいたのだ。ガルフが苦痛に耐えているのは《湯血・笑爺》の炎が熱いからなどではなく、己の左目に潜んでいる【ドッペル虫】が癒しの炎の脅威に襲われて最後の抵抗をしているからではないか――、とサンは心の中で考えた。

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