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~覚悟を決めた一撃~
「……ふぉっほっほっ――さあ、覚悟を決める時じゃ。ワシらはお主の願いは間接的になら叶えてやれるが……直接的に干渉する事は御法度ゆえにな。あとは、お主が覚悟を決め――あの仲間とやらを【ドッペル虫】とやらの支配から解放させるのじゃ」
―――ポンッ
《湯血・笑爺》が、それをする事によって未だに決意しきれておらずに心の中で葛藤しながら自問自答しているサンの気持ちを察知したのか彼の肩を軽くだが叩いた。
そして、サンは背中に担いでいる鞄の中から弓矢を一本だけ取り出すと、ギュッとそれを固く握り締めてからスゥ、と息を吸い込んで吐き出すと――そのまま厳しい目付きで苦しげな声をあげつつ、身悶えているガルフの左目を真っ直ぐに見つめると――今度は迷う事なく、ガルフの左目を目掛けてヒュッと弓矢を放つのだった。
「狼男よ、どうか――許してくれ。これは、お前を救うために必要な事なんだ……っ……!!」
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