▼ ▼ ▼ ▼ 【まったく――君には失望したよ。アダム……このままじゃ、君を……私の手で彼らのような《デキソ・コナイ》にするしかない。君にはドッペル虫を操る能力を与えたが……それも全てムダになった。そんな君が――私と１つになりたいなどと……調子に乗るんじゃない】 【笛吹男】が容赦なく【ピエロ的ゾンビ男】に言い放つ。その足元には、【笛吹男】によって無理やりキメラアントにされた哀れな元ニンゲン達の成れの果ての醜い肉塊の姿があった。 それを、【笛吹男】は無情にも踏みつけ――グリグリと足で踏みにじる――。 【ダディ……どうしても許してくれないのですか？１つになってはくれないのですか？家族に……妻にはしてくれないのですか？】 【―――しつこいな。私は君のそんな所が以前の世界にいた時から大嫌いだったんだ……低脳で存在するに値しない《ドッペル虫》を操るくらいしか脳がないくせに――私と１つになりたいなどと、そんな事は……許されないっ……】 【…………】 ―――ｽﾀ、 ――ｽﾀ、ｽﾀ 【ピエロ的ゾンビ男】は、真っすぐに歩いていく。それがどこにあるのかは、ずっと【笛吹男】の隣にいて狂愛を捧げ続け――どんなに理不尽な命令にも従い――常に側にいて支えてきた彼には既に分かりきっている。 【種】を手にする為に――真っすぐに歩いていく。そして、遂に【種】を手にした彼は――それを口に含むと、彼に背を向けていた【笛吹男】へと静かに歩み寄っていき、 慌てた様子で振り向く【笛吹男】の唇に――深い【不死の口付け】をするのだった。 ｺﾞｸﾝｯ…………！！ 己の意思に反して自然と【笛吹男】が【ピエロ的ゾンビ男】から口移しされてしまった【種】を飲み込む音だけが部屋に響くのだった。