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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side
▽ ▽ ▽ ▽
パチ、パチッ――
パチ、パチ――
ふっ、と目を覚ました僕の耳に何かが燃えてはぜでいるかのような音が聞こえてきた。そして、最初に目に入ってきたのは見知らぬ部屋の――僕の記憶には無い筈の見知らぬ真っ白な天井。
更に――僕の顔を覗き込んでくる真っ黒な人。その人物が誰なのか、という事さえ――いや、本当にニンゲンなのかという事さえも僕には分からない。
何故なら、まるで影絵のように真っ黒で……その人が女の人なのか男の人なのかさえ、今の時点では分からないからだ。
【ねえ、あなた――大丈夫?ずいぶんと魘されていたわ。ねえ、あなたは私の可愛い娘の赤ずきんを知らない?】
【おばあさんにお使いを頼んだのだけど、あの子ったら――大事な《頭巾》を持っていかなかったのよ。ほら、これが無いと……あの子の可愛い《顔》が元に戻らないの。あんな偽物の……《頭巾》を被っていちゃダメなのよ。お願い、あの子に会ったら……私が作った本物の《頭巾》を渡して欲しいの】
―――スッ……
その黒い人影(おそらく女の人)は体をゆっくりと起こした僕に《真っ赤な赤頭巾》を渡してきた。
そこで――ようやく、ある事に気付く。
まず、気付いたのは《この部屋の異様さ》だ。この部屋は全体が真っ白で机や椅子――それに、暖炉のような物はあるものの全てが白い。暖炉の中では炎もあがり、パチパチと火がはぜる音も聞こえていて暖かさも感じるにも関わらず――とにかく色が真っ白なのだ。普通は赤い筈の炎さえ、真っ白でそれを目にした僕は呆然とするしかなかった。
そして、もうひとつ――僕にとって、とても重要で本来ならば最初に気付くべき筈の事に――やっと気付く。
僕の最愛の人、誠の姿がこの部屋に見当たらないのだ――。
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