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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side
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【あの森は――危険なの。でも、どうしてもあの森に行くというのなら、これをお守りとして持っておゆきなさい。可愛い坊や、どうか気を付けてね――】
僕が誠を探しに行く為に身仕度をしつつ不安げに窓の外に広がる《鮮やかな色のない森》を見つめていると、ふいにテーブルの上に置かれたスノードームを黒い女の人が僕へ手渡してくれた。
そのスノードームの中には周りに広がる異様な光景と違って、鮮やかな色の閉鎖的ともいえるが美しい世界が広がっている。
―――中には一見すると教会らしき建物があり、地面にあたる部分には真っ白な雪が積もっている。そして、まるでロシアのマトリョーシカ人形のようなカラフルな衣装を纏った女の子達のいる周辺には緑色の木が生い茂る森。脇にあるボタンを押してみると、上から真っ白な雪が降り注いだのだ。
―――その後、僕は黒い女の人へとお礼を言ってから得たいの知れない奇妙な森へと歩みを進めるのだった。
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