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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side

▽ ▽ ▽ ▽ ―――どのくらい、このカラフルさとは無縁の奇妙な森の中をさ迷っただろうか? あれから誠どころか――いや、森ならば何処にでもいそうな動物――例えば鳥などにさえ出会う事はなく、ただただ一人で森をさ迷い続けていた。 すると、その時―――― 【ああ、うまそうな――ニオイがするぞ。あの――赤ずきんの――うまそうなニオイだ。ぐるるっ――そこにいるなっ――ああ、堪らん――今すぐに喰ってやるっ!!】 ―――ガッ!! 今まで声はおろか気配すら感じなかったというのに、いつのまにか後ろに迫っていた狂暴な動物――あの黒い女の人が話していた狼に僕は襲われてしまい、仰向けに真っ白い地面へと倒れてしまう。 ひやり、とした冷たい感触を背中に感じながら――僕はあの女の人と同様に真っ黒な狼に襲われてしまった事からくる恐怖のせいでギュッと固く目を閉じてしまう。 【おにいさん、おにいさん……大丈夫、なの、大丈夫なの?スノードームをワタシにくれたら、助けてあげる――助けてあげる。だから――だから、スノードームを……スノードームをちょうだい?】 「……っ…………!?」 その透き通るように綺麗な女の子の声を聞いた途端に、自分の意思に反して――僕は思わずスノードームを右側へと転がしていた。 コロッ――トン、トンッ…… ――スッ 僕が転がしたスノードームが、黒い木に当たるとその脇から女の子が一人現れる。その女の子も先程出会った女の人と同じように影絵のように真っ黒で、裾がふわりと大きく広がったドレスのシルエットでかろうじて女の子だと分かったのだ。 スノードームを女の子が広いあげ――そして硝子の部分にキスをする。 その途端に白い雪がフワフワと降ってきた。余りの恐怖から固く目を閉じていた僕だったが、急に雪が降ってきたのは何となく分かった。 ふと、違和感を抱いて――僕は、おそるおそる目を開ける。すると、今まで僕を物凄い力で押さえ付けていた筈の《黒い狼》の姿が消えていたのだ。 それと同時に――今まで《黒と白しか存在していない奇妙な森》が、いつの間にか《鮮やかな色のある森》へと変わっている事に気付くのだった。

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