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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side
―――何でだろう、僕はこのマトリョーシカ人形のような三人娘を――どこか別の場所で見た事があるような気がする。
もっと、昔――このミラージュという世界ではなく――ダイイチキュウという世界で――。
「君達が持っている本物の赤頭巾を……顔のない女の子に返してあげて……っ……」
【え~……いやよ、いやよ。これは、わたしたちのものになったんだから、なったんだから。でも――おにいさんが、わたしたちのねがいをきいてくれるなら、かえしてあげるわ、あげるわ】
―――三人娘のキッコが膨れっ面になり口元を歪ませながら、それでいて愉快そうに笑いながら僕へと言い放ってきた。
―――この女の子達は、果たして僕らの《敵》なのか、それとも完全なる《味方》とはいえなくとも危害を加えるつもりはないのだろうか?
「う、ううっ…………!!?」
「ま、誠っ……誠……大丈夫!?」
僕がそんな事を不思議に思っていると真っ白な地面に横たわり、グッタリとしている誠が苦しげに呻くのが聞こえてきた。
慌てて誠の方へと駆け寄ろうとした僕を―――三人娘の一番上の娘が、まるで悪戯をしている子供のように無邪気な笑みを浮かべながら邪魔をする。
【おにいさん、おにいさん―――わたしたちと、かくれんぼじゃなく、おにごっこをしましょう?おにごっこをしましょう?】
【キッコのいうとおり、おにごっこをしましょうよ♪そこの怖いおにいさんといっしょに、わたしたちを全員つかまえたら――おにいさんのかち。でも、もしも――おにいさんたちがつかまえられなかったら、このままずっとずっと――このもりであそびつづけるの。そうでしょう、コッコ?】
【キャハハハッ――キッコとノッコなんかが、あたしとおなじことをかんがえるなんて。めずらしい、めずらしい。あたしも、たいくつしていたのよ。この、まっしろなせかいに――だから、いっしょにあそびましょう?】
【【【それじゃあ、スタート!!】】】
三人娘の楽しげで甲高い声が白い雪に覆い尽くされそうな森の中に響き渡ったかと思うと、そのまま――森の中のどこかへと姿を消すのだった。
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