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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side
【キャハハハッ―――ただ、おにいさんたちと、おにごっこをするだけじゃつまらないから……キッコとノッコと……あたしいがいにも、おにごっこをしてもらうこたちにおねがいして……この、もりのあちこちにいてもらうことにしたわ!!そのこたちは、おにいさんたちのいろいろなものをたべるのよ、たべるのよ♪がんばって、おにげなさい、おにげなさい!!】
―――ザザァッ~…………
いちばんしたの愉快げなコッコの声だけが――森の中に突如吹いた風と共に僕の耳に入り、そのまま二度と聞こえなくなった。
▽ ▽ ▽ ▽
「ま、誠……誠……起きて、起きて!!」
ペチ、ペチッ……!!
先程、苦しげに呻く声を弱々しく発してからというもの誠が目を覚ます気配がない。なので、僕は少しだけ強めに誠の頬を叩いてみるものの――やはり、目を覚ます気配がないままだ。
先程の三人娘の言葉といい、大好きな誠が目を覚まさないということといい、僕の精神は既に不安と恐怖とで押し潰されてしまいそうだった。
ポタッ…………
思わず――自然に涙ぐんでしまい、頬を伝ってそれが真っ白な雪の上に落ちた。
すると――、
ザザッ、ザザァ~………
今まで辺り一面が真っ白な雪に覆われていたというのに、僕が涙を地面に溢した途端に一瞬にして――大きな泉へと変貌していくのだった。
しかも不思議な事に、僕と横たわる誠の周りには白い雪の固まりで泉の中へと落ちないようになっており、まるで――誰かがわざとそうしているのかと思わせる状況なのだ。
――ビュッ
ボチャンッ……!!
呆然とするしかない僕を嘲笑うかのように、それは突如として起こった。
一瞬にして出来た《僕の涙の泉》の中から黒くて長い得たいの知れないモノが二本出てきて――僕へと物凄いスピードで襲いかかってきた。余りに突然の事だったせいで思わず、腰を抜かせて尻餅をつきながらギュッと目を瞑ってしまう。
しかし、その得たいの知れない黒いモノの一本は僕のズボンへ――そして、もう一本は白い雪の固まりの上に横たわる誠の方へ伸びていく。
そして、あっというまに気絶している誠と――そして、僕のズボンに入っているスノードームを捕らえると――そのまま、僕の大切だと思っている人(物)を二つ共、涙の泉の中へと引き摺り込んでしまうのだった。
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