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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side

【あなたが落とされたのは《愚者》ですか?】 【あなたが落とされたのは《世界》ですか?】 ―――美しいスノーフレークという花の冠を被った真っ黒い女性は先程と同じ内容の言葉を再び問い掛けてくる。 僕はその問い掛けに答えるべきなのかどうか、戸惑ってしまい――思わず開きかけた口を閉じてしまう。 何故なら、【花冠を被った真っ黒い女性】の右側に捕らわれている幼い男の子の正体が誠かどうか、それとも――彼とは別人なのかどうか判断しきれていなかったからだ。しかし、その男の子が身に付けている服装には見覚えがあった。 (これって前に王宮の地下牢で捕らえられてしまった時――知花が来ていた服装だ……確か、王宮の警備する人が着る服だって言っていたような……でも、何で――こんな幼い子供が!?) と、そんな事を思いながら何の気なしに泉の水面へと目線を移した僕はある異変に気付いた。 ―――ボウッと金色に光り輝く蓮の葉が泉の周りを取り囲むように円状に何枚か浮かんでおり、その光り輝く蓮の葉の上をグルグルと、それぞれ大きさの違う木の棒が二本狂ったように回っている。 (この泉の今の状態……何――か何かに似てる……何だっけ――そうか、時計だ……前にいた世界の時計に似てるんだ……っ……) その二本の木の棒は以前の世界で嫌という程に見つめてきた時計とは違って、反時計周りにグルグルと狂ったように回っているのだ。 「んっ…………ユ……ウタ………」 「ま、誠――やっぱり……君は……誠なんだねっ……姿は違っても……誠なんだね!?」 「……………」 その時、思いがけずに【花冠を被った真っ黒い女性】の右側に捕らわれてている男の子が――己の名前を微かな声で一度だけ呟いた事に気付き、慌てて愛しい人の名を呼んでしまう僕なのだった。

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