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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side

マーロンの方が優太よりも運動神経が良さそうにも関わらず、彼はまだ此方へは来ていない――。 【ふ、ふしゅ~…………しゅ~……ふしゅ~……ふしゅ~……】 ズルッ、ズルルッ…………!! マーロンがまだ姿を見せない事に気をとられ、心配になってしまったため、ほんの僅か一瞬だけ――先程通ってきた方向へ僕が目をやった時の事だった。 未だに気味の悪い息づかいような声が【鳥形の仮面を被った男】から聞こえてきたのだが――先程からも、その気味の悪い声は聞こえていたし特に攻撃を仕掛けてくる訳でもなく、ただ呟いていただけだと思い込んでいたせいで完全に油断してしまったのだ。 「やっ……やめっ……んんっ……んむっ……!?」 【鳥形の白い仮面を被った男】の下半身から、うごうごと蠢いている十数本の触手が―――僕の体に巻き付いていき、更には唇までも触手で塞がれてしまう。 【触手の先端についている人間の口みたいな何か】のせいで、まるで無理矢理キスをされているみたいになってしまい、ゾワッと全身に鳥肌がたってしまうのが自分でも分かった。 ニュル、ニュルッ―― と、途端に僕の体部分に巻き付いていた一本の触手が――僕の眼前までニュルニュルと自在に伸びてきたかと思うと、別の触手が塞いでいる口元でピタリと止まった。 すると、先に僕の唇を塞いでいた触手によって――無理矢理、口を開かされた僕は何をされるか分からない恐怖から必死で口を閉じようとしたのだが、僕の抵抗も虚しく――再び触手から阻まれて、更に大きく口を開かされてしまう。 ―――シューッ すると、眼前でピタリと止まった触手の先端の【人間みたいな口をした何か】から白い靄のようなものが無理矢理開かされた僕の口に向かって噴射され、それを吸い込んでしまったせいで―――強烈な眠気に襲われて、そのまま倒れてしまうのだった。 ―――チクリッ!! 「んっ……んんっ……いっ……!!?」 僕が意識を手放してしまう寸前に、最後の仕上げだとでもいうように、靄のようなものを噴射してきた触手の【人間の口のような何か】が僕の唇に強引に押し付けられ―――まるで、薔薇の棘のような鋭くて固い物が僕の舌を刺してきた。 ―――それが、何なのかという事を理解する前に深い眠りの世界へと強制的に誘われてしまうのだった。

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