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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side
▽ ▽ ▽ ▽
―――ペシッ、
――ペシ――ペシッ――!!
「おいっ……おい、起きろ……!!こんな雪の中で眠るなんて……お前、どうかしてるぜ!?」
「ん、んんっ……こ、ここはっ…………」
僕が【鳥形の白い仮面を被った不気味な男】から得たいの知れない不快感を催してしまう程に奇妙な口付けをされ、意識を手放して眠りの世界へと半ば強制的に誘われてしまった後――、
あれから、どのくらいたったのだろうか――。
それは定かではないが、僕が目を開けた時に真っ先に目に入ってきたのは―――少し動揺しているような表情を浮かべつつ、僕の頬を叩いてくるマーロンの姿だった。
(誠じゃない――でも、誠が幼い頃の……姿なんだから彼は誠なんだよね……でも、でも…………彼はなんだか……生意気で……とても……彼が後に……あんな風にぶっきらぼうだけど優しくなるなんて……思えない……)
―――眠い。
――――まだまだ眠い。
真っ白な靄がかかったかのようにモヤモヤとした頭の中で思ってもみないような事をボーッと考えてしまう程に―――僕は強烈な眠気に襲われていた。
―――パン、パンッ!!
「目が覚めたか?ところで、お前……こんな所で何してたんだよ!?」
「スノードーム……スノードーム……探さなくちゃ……スノードーム……大切な……スノードーム……取り返さなくちゃ……敵にとられた……スノー……ドーム…………」
僕は意識をきちんと覚醒させるためにも、体を無理矢理起こすと――そのまま、両手で自分の頬を叩いてみた。少し強めに叩いたつもりだったが、やはり強烈な眠気には耐えられず瞼が自然と下りてしまう。
「おい、お前……本当に変だぞ!?大体、スノードームなんか……ここにあるだろうが!!」
「何で、何で……スノードームを君が持ってるの!!?スノードームは――敵に奪われた筈なのにっ……ああ、そうか……君は敵だったんでしょ!!だから……僕が愛する誠と……姿も性格も違うんでしょう?そうやって……僕を騙して……楽しんでるんでしょう?」
―――止められない。
―――眠気を抑えられないのと同様に、酷い言葉をマーロンに言い放つのを止められない。
―――こんな酷い事、僕は思ってすらいないのに。
僕の口を通じて……どんどんと、酷い言葉でマーロンの心をえぐりとっていく。
(こ、こんな――こんな事……思っていないのに。どうして……どうして……マーロンと誠は……確かに姿も性格も違うけれど……どちらも大好きなのに……)
「―――もう、いい。お前の事を……二度と信頼しない。だから、お前も俺を……」
―――スッ
「二度と……信頼するな。」
マーロンが大きく溜め息をついてから―――低い声で僕へ言いながら、スノードームを渡してくる。
おずおずと、手を伸ばしてそれを受け取ろうとした時―――、
【キャハハハッ―――なかまわれ、なかまわれ。カラスさんとロカのせいで―――おにいさんたち、なかまわれ!!】
またしても、どこからか――三人のうちの一番下の娘【コッコ】の声が唐突に聞こえてくるのだった。
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