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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side

【キャハハハッ―――キャハハハッ――また、あとであそびましょう、あそびましょう!!おうじさまも―――それをのぞんでいるわ、のぞんでいるの。だから、このさきのめいろで――とうししないでね?】 その言葉を最後に―――ピタリと三人娘コッコの甲高い声が消えた。 ――ビュ~…… ――ヒュゥゥッ~…… だが、そのコッコの声が消えたと同時に――先程までは降っていなかった筈の雪が吹雪となって、言い合いをしてしまった気まずさから、互いに顔を背け合っている僕とマーロンへ襲いかかってくる。 ―――バサッ…… すると、王宮で見た警備服の紫色の上着を羽織っていたマーロンが、おもむろにそれを脱ぐと――そのまま、僕に向かって放り投げてきた。 あまりにも突然で――しかも、予想もしなかったそのマーロンの行動を横目でチラッと見た僕は呆然としつつ、どうすればいいのか戸惑ってしまう。 「そ、それ……っ……」 「…………えっ……!?」 「それ…………着ろって言ってんだよ。お前に凍死させられちゃ……あとあと面倒だからな……だから、だから……ここから無事に出られるまで癪だけど貸してやるよ。」 ―――マーロンは子供の姿なので上着のサイズが小さい事とか、そもそもさっきまで喧嘩していた事とか――そんなのが、どうでもよくなるくらいに心がジンワリと温かくなるのを感じた。 「まこ…………ううん、マーロン。さっきは――さっきは、ごめんね。僕、どうかしてたんだ。」 「なっ……何だよ、今更――言っとくけど俺はお前を完全に信頼した訳じゃないんだからな!!ほらっ――先に進むぞ!!」 そうぶっきらぼうに言いながらも―――急に吹雪に覆われてしまったことによる猛烈な寒さと強烈な眠気に耐えている僕を小さな体で必死で支えようとしてくれるマーロン。 「あ、あのね――マーロン……」 「ん………何だよ?」 「だ、大好き……っ……」 耳まで赤くなるマーロンを見て、尚も彼をからかいたくなったが――怒られそうだったので止めておく僕なのだった。 そして、僕らは―――雪に覆われた森の中を再び歩き始めるのだった。

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