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【赤ずきん】と森の迷路とスノードーム ※優太・誠side
―――しばらく雪道をひたすら歩き続けると、ある建物が僕の目に入ってきた。
それは、まるで玉ねぎのような形の赤い屋根の特徴的な建物で――遠目からだと、キノコのようにも見えなくもない。
その建物の周りには、ボンヤリと赤紫色に発光しているキノコが何本も生えている。そのキノコをジッと見つめて、ふと空を見上げてみると――先程まで降っていた雪が、いつのまにか止んでいるのが分かった。それどころか、雲の隙間から――所々、青空が見えている。
しかし、身を震わす程に寒いのは変わらない。
「あ、あそこ……あそこに建物があるよ!!早く――あの建物に入ろうよ!!」
「あっ……おい、待て……っ…………あそこはっ……」
―――せっかく、少しだけでも休憩出来そうな建物を見つけたというのに、マーロンは何故だか乗り気じゃない。
それは、一体―――何故なんだろう?
▽▲▽▲▽▲
ビュ~………
ヒュゥゥ~ッ……
「―――上着――」
「……ごめんね……っ……」
「マーロン―――」
うんざりしてしまう程の吹雪の中、慌てて駆け付けた俺の目に飛び込んできたのは、先程喧嘩別れをしてしまった―――正体不明の男の姿だった。
辺りを見渡してみると、そこにはソイツしかいない。気味の悪い赤紫色のキノコが生えていたり、奇妙な形をした建物があるだけだ。
そういえば、まだ雪の上に横たわって独り言を呟き続けるソイツの名前さえ知らない。
それを聞く前に―――喧嘩別れしてしまった。
「おいっ……おいっ……起きろっ……こんな場所で死なれでもしたら……後味が悪くなるだろうがっ!!」
「―――大好き……だよ……っ……」
「………なっ……!!?」
その独り言を聞くと、何故だか自然と耳まで真っ赤になった。
さっきまでは、一方的に喧嘩を売るなんて憎らしい奴としか思っていなかったのに。
まあ、こんな場所で―――のたれ死にされたら後味が悪いのも事実だ。
何とかして、この名前も知らない憎らしい奴の目を無理矢理覚まさせてやるとしよう―――。
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