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~【白いハコニワの魔法】~
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―――【彼】の目の前にはスノードームがひとつ。
―――【彼】はニコニコと笑みを浮かべながら、楽しげにスノードームの中を覗きこむ。
そして―――中にいる【世界に翻弄される演者達】に向かって子供のように愉快げに話しかけるのだ。
―――【彼】の傍らには、とある【世界に翻弄される演者】の名前を必死で呼びながら涙を流す人物がひとり。
かつて、クラスメイトであり友達であり―――そして、今は【敵】とも言えなくもない、その人物の頭を――【彼】は優しく撫でるのだ。
そして、【彼】は名残惜しそうに―――スノードームの硝子の部分へと手をかざす。
すると、【彼】が手をかざした部分が溶けてしまったかのようにグニャリと曲がり―――中から成長した木が勢いよく飛び出してくるのだった。
ヒョイッ…………
その木の枝に引っ掛かっている小人のように小さくなってしまいジタバタともがいている【カラス】と【鳥形の白い仮面をつけた男】を軽々とつまみ上げると、【彼】は口元を歪め―――今までにないくらいの醜悪な笑みを浮かべるのだった。
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