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~【白いハコニワの魔法】~
【確かにこのスノードームにハコニワの魔法をかけたのはオレだけれど――】
【だからといって彼らを苛め過ぎるのは良くないな?ああ――もうひとりの生意気娘は捕らえ損ねちゃったか。まあ、それはユウタくんとマコト――おっと、今はマーロンだっけ?君達が何とかするよね?】
―――【彼】はスノードームの中を覗き込みながら尚も愉快げに話している。
―――時折、隣にいて悲しげな表情を浮かべている【ソウタという少年】の頭を優しく撫でながら慰める。
【マコトの負の感情から出来た魔力エネルギーを吸い込んだ一番目と二番目の生意気娘――。君達を食べると、とても美味しそうだよね?それじゃあ、いただきます♪】
―――ゴクンッ!!
人間の親指程に小さくなり、いつのまにか変化の魔法が解けた【一番目の娘・キッコ】と【二番目の娘・ノッコ】がジタバタとしながら【彼】の手の中から逃れようとしたものの、その抵抗も虚しく―――本当にあっけなく、そのまま満足げに微笑む【彼】の口の中へと落ちていきゴクリと飲み込まれてしまうのだった。
【ん~……やっぱりマコトの負の感情と魔力エネルギーを吸い込んだ生意気娘達を食べると――ほんの少しの影響とはいえ前とは違うよ。やっぱり、オレは王になるのに――相応しいんだよ。ねえ、キミも……そう思わない――?】
「―――チ、ううん――君は何がしたいの?優太達を苦しめたいの?この、シリカっていう――幼くて可愛い男の子を苦しめたいの?」
―――【彼】は隣にいる【ソウタという少年】の怒りと悲しみを滲ませた声かけには答える事なく、子供のように好奇心を露にしたかのような表情を浮かべてほくそ笑み、そして再びスノードームを覗き込むのだった。
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