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【赤ずきん】と森の迷路とスノードームからの脱出 ※優太・誠side

▽▲▽▲▽▲ 「おいっ……おいっ……起きろっ……!!」 「んん……!?ま、誠……じゃなくて……マーロン……って…………あれ、ここは何処!?僕は確か……スノードームを取り戻そうとして……あの巨大なカラスを……追いかけてたのに――」 自分よりも小さなマーロンの背中におぶさりながら、目を覚ました僕が尋ねてみると彼は呆然としながら此方を振り向いた。 「お前……あれ、見てみろよ……仮面被った変な男と、喧しいカラスは……お前が気絶してる最中に、あの巨大な木に捕らえられて……そのまま――えっと、誰だっけか……とにかく見覚えはあるけど名前が思い出せない誰かに……食われちまったんだよ!!ほら、アイツだ……!!」 はあ、と呆れたような表情を浮かべながら溜め息をついてから、マーロンは雪の降る勢いが減ってきたものの未だにドンヨリと曇っている空を見上げて僕へと言ってきた。 「ち、知花……っ……!?」 見上げた曇り空から―――グニャリと歪んでいるものの、懐かしい元クラスメイトで友達で裏切り者となった知花の顔が戸惑う僕とマーロンの姿を愉快げに覗き込んでいたのだ。 しかし、それも――すぐに消えてしまい僕はまたしても知花に自分の思いを告げる事すら――出来なかった。 ―――ヒュ~…… ――ビュ~………… そんな僕の悔しい思いと切なさを嘲笑うかのように、再び森の中を猛烈な吹雪が襲う。 「おい、行くぞ。このままおぶっててやるから。よく分からないけど、まだこの森の中からは出られないんだろ?それなら、あのふざけた奴らを――ボッコボコにしてから無事に出てやろうぜ――もちろん、二人でな」 「う、うん――ありがとう。マーロン……大好き」 僕はマーロンの背中におぶさっているので明らかな表情は分からなかったが、髪の毛の隙間から見える彼の耳が僅かに赤くなっていくのに気付いてクスッと笑ってしまうのだった。

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