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~廃遊園地へ続くトンネルを通って《仲間》の元へ~

▽ ▽ ▽ ▽ 誠とともに手を固く繋ぎながら僕は《出口》と書かれた扉を開け、その後に続く薄暗いトンネルの中を、ただただまっすぐに歩き続ける――。 このトンネルは今は廃墟となった遊園地の通り道にあり、有名な心霊スポットと噂されるようになってしまったトンネルだ。かつては、想太と共に歩いたトンネルを今は想太と同じくらいに大好きな誠と共に歩いている。 天井の両脇についた白いライトがついたり消えたりしていて不気味だが、無意識のうちに小刻みに震えている僕の手を心配するなといわんばかりに誠が握り締めてくれた。 ―――そのせいか、あまり恐怖は抱かなかった。 それは多分、隣に――ぎゅうっと手を握ってくれている優しくて愛しい誠がいてくれるから。 ―――それに、 『ユウタ――ユウタ!!早く、こっちへ――戻ってきて……マコトも――早く、こっちへ……っ……』 『早く戻ってこい。貴様は――いや、あなたは――こんな所でくたばるべきではない筈だ……っ……』 『優太くん――それに、癪だけど木下誠――皆が待ってる――だから、お願いだ――こっちへ戻って来てくれ……っ……』 久しぶりに聞く《大好きな仲間達の》僕と誠の名を呼ぶ声トンネルの先から聞こえてきたからだ――。 そして、突如トンネルの先から眩しい真っ白な光に照らされて、次に気付いた時には、今まで固く目を閉じていた僕の顔を覗きながら不安げに見つめてくる《大好きな仲間達の顔》がゆっくりと瞼を開けた僕の目に映るのだった。

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