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~久々の休息――の前にミミック坊やの元へ~①

▽ ▽ ▽ ▽ 「ユウタ……マコト、良かった~!!」 「まったく……戻ってくるのが遅すぎだ……」 「……とか言って……本当は優太くんと木下誠を凄く心配してたくせに……素直じゃないんだから……エルフのリーダーさんは。まあ、なにはともあれ……おかえり、優太くん……それに木下誠――」 大切な《仲間達》のあたたかな言葉を聞いて、自然と笑みが溢れてしまう。ふと、隣を見れば誠が目を覚ました僕に向かって安堵したかのような表情を浮かべながらギュッと手を握ってくれていた。 「この格好……って…………そうか、元の場所に戻ってきたから……」 「ユウタ…………それに、マコト……キミたちが戻ってきたんだから、早くミミック坊やに会って……この塔に無理矢理捕らえられた哀れなダイイチキュウに暮らすニンゲン達を救ってあげなきゃ……」 ―――ゆっくりと体を起こして、己の格好を見てみると白いレースにピンクの衣装を身に付けている事に気付き、徐々に【スノードームと迷路の世界】に引きずり込まれる前の記憶を思い出す。 ―――そして、ミストの言葉を聞いてこれからすべき事を改めて思い出した僕らは―――《ミミック坊や》がいる場所へと歩みを進める。 ―――まだ、僕らには救うべき哀れな大勢の人々がいるのだ。 《恋人を失った哀れなセーラー服の少女》―――。 《訳も分からないまま唐突にこの塔に連れ去られてしまったダイイチキュウに暮らす大勢の人々》―――。 《村から理不尽に連れ去られた哀れな数人のエルフ達》―――。 《部下をスーツ姿の男とその仲間によって利用され、想い人であるエルフも捕らえられたガルフさん》―――。 ―――早く、彼らの無念を晴らさなくては。 そして、その為にも早く《ミミック坊や》の元へと行かなくてはいけないのだ――。

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