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~素直になれない二人~ ※サン・引田side

「なっ…………何してんの!?さ、さっさと離れてよっ!!」 「―――少しはその生意気な口を閉じる事が出来ないのか?まあ、貴様が嫌ならば致し方ない――皆の元に戻るぞ。」 ―――スッ 頑なに拒む様子の引田を見て、サンは潔く身を引いてから、僅かに聞こえてくる会話の内容から察するに酒盛りを始めたらしい仲間達の元へ戻ろうとする。すると、背中を向けたサンの手を引田がグッと力強く掴んできた。 「べ、別に―――嫌なんて言ってないじゃん。あんたこそ……ぼくのこの格好が好きなら……素直に言いなよ……というか、あんたの素直な気持ちを教えてくれるまで……離さないから!!」 「本当に―――貴様は生意気な奴だ。その格好をするのは構わないが―――私と二人きりの時にしろ。これで、いいか―――いい加減、貴様と話すのは疲れた。それと、私と関わってばかりいるとミストが怒るぞ?ミストは―――貴様の事が大好きらしいからな」 「あんたは―――?あんたこそ……ぼくをどう思ってる訳?ぼくは別にミストの事は好きだけど恋愛とかそういう事込みで好きなわけじゃないよ。ミストだって――ぼくを恋愛込みで好きな訳じゃないでしょ。それよりも――ぼくは、あんたがどう思っているのか聞きたいだけだよ」 力強くサンの手を掴んだまま、上目づかいで引田はサンの暗い色の瞳をジッと見つめながら答えを待った。 ―――すると、 「―――これが答えだ……っ……」 サンは身を屈め、目を閉じながら―――己よりも遥かに背が低い引田の頬へと軽く口付けするのだった。 引田は林檎のように頬を赤く染めて―――そのまま、何も言わないサンと共に酒盛りを開始した仲間の元へと戻っていくのだった。

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