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~宴と共に――夜は更ける~
「おい、そんな怪しい物を優太に飲ませるな。ほら、そろそろ眠りについた方がいい―――」
「ああ?まるで、俺が悪いみてえな言い方するんじゃねえよ……大体、俺はコイツの不安と恐怖を緩和してやってるんだっつーの!!」
―――いつの間にか、僕の側に周りの酔っぱらい達に対して呆れ果てた表情を浮かべている誠が立っていた。
とはいえ、僕自身も例えマガイ酒といえども酔っぱらっているため―――視界に入る誠をボーッとしながら見つめる事しか出来なかった。
「ん~…………やだやだ、まだ―――飲み足りないっ……!!」
「優太…………俺をあまり困らせるな。それに、お前には―――いや、俺達には――まだすべき事がこれからもあるんだぞ?」
「いいじゃねえか……時にはハメを外した方がいい事もあるさ……特にこういう真面目な奴はな。ほれ、どんどん飲め!!」
―――ゴクッ、ゴクッ……!!
ぐる、ぐると世界全体が回っているかのような錯覚を抱きつつも――僕はボーッとした頭の中で考えるよりも先にホワリンから新たに渡されたコップを受取り――その中に入っていた透明な液体を思いきりグイッと飲み込んだ。
―――それが僕の中にある《酒盛りという夜の宴》の最後の記憶だった。
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