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~塔の支配者達は何を思う?~

◆ ◆ ◆ ◆ 塔のどこかにある―――灯りなど録についていない薄暗い部屋。 そこにあるのは―――ひとりのニンゲンと、二匹の異形の魔物で構成された《塔の支配者たち》と、金色に光り輝く水晶玉がひとつ。 「ねえ、リッくん―――この子達、完全に油断しきっているわよ?バカみたいに騒ぎながら酒盛りなんてしちゃって。襲うなら今が最適じゃな~い?」 「キューイ、キュイッ………アラクネしゃまのいうとおりなのでしゅ。ご主人しゃま……そろそろ、ハーピーも……美味しい餌が食べたいのでしゅ……」 金色に光り輝く水晶玉の中に映っているのは、酒盛りをしたせいでベロベロに酔っぱらっている大勢の人間達。本来であれば彼らはダイイチキュウにいるべき存在であり《塔の支配者達》にとっては余り重要ではない存在ともいえる。 むしろ《塔の支配者達》にとって重要な存在なのは、ミラージュからダイイチキュウに理不尽な理由で飛ばされた二人の人間と――そして、かつては王宮に支えていた二人のエルフ達。更に、何の因果か特別な存在である彼らの仲間となった一人の人間と――スライム。 そして、一時とはいえ―――《塔の支配者達》に協力的だったはずの【イビルアイ】という裏切り者の存在だった。 「ん~…………残念だけれど、アラクネちゃん……それにハーピーちゃん。それだけはしちゃいけないんだよ……フェアじゃなくなってしまうからね……この気持ち――長いこと共に過ごしてくれたキミらなら分かってくれるよね?」 「で、でも…………ご主人しゃまなら、彼らを襲うのは簡単なのではないのでしゅか?なじぇ……それをしないのでしゅか?」 「もちろん、油断しきっている彼らを襲う事は出来るけれど―――そんなのは、つまらない。それに――そんな退屈な事をしてしまえば王子様に怒られてしまうからね。王子様の怖さは……ハーピーちゃんも知っているだろう?」 ―――ハーピーは《一番偉い塔の支配者》の言葉を聞くと、ビクッと身を震わせた。 「え~…………でも、それじゃあ……退屈なままじゃない。このままヤツラが目を覚ますまで、お人形みたいにジッと待てっていうの!?そんなの、つまらない――つまらない!!」 「まあまあ、アラクネちゃん……何のためにこの生意気で可愛いエルフの彼がいると思っているのかな?望むままに従順になったエルフの彼を利用して――これから思いきり、愚かで矮小な彼らを引っ掻き回してやろうじゃないか。楽しみは……最後までとっておくものだからね~。」 《一番偉い塔の支配者》は―――まるで犬のように首輪を付けられて項垂れてしまっているナギの頭を撫でながら《二番目に偉い塔の支配者の蜘蛛》へと愉快げに言い放ったのだった。

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