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~生意気な囚われエルフと金の呪いの糸車~
「うふふ、本当なら―――この子も私の餌になる運命たげれど、とっておきの金色の《お洋服》を着せてあげるわ!!それでいいのよね、リッくん?」
「ずっと昔から――人々を魅了する物語には【囚われの身の可哀想なお姫様】が必要不可欠なものさ。そして、それを利用して愚か者達を引っ掻き回すのが―――ぼくらの勤めなのさ」
金一色で装飾された豪華とも――はたまた悪趣味ともいえなくもない椅子に座りながらグラスに入った赤い液体をゴクリと飲み干した。
「きゃ~っ……流石ね、リッくん!!もう、もう……本当に最高だわ。あの王子様よりも―――リッくんの方が王として、ふさわしいんじゃ……っ…………」
「―――アラクネちゃん、しぃ……っ……!!」
《一番偉い塔の支配者》の言葉を聞いて舞い上がっていた《二番目に偉い塔の支配者の蜘蛛》が口をつぐんだ。
―――ズズンッ
――ズシャッ!!
部屋の何処からか、大きな音が聞こえてきたと思った次の瞬間―――アラクネと呼ばれた蜘蛛の餌である金糸でグルグル巻きにされた何体かの《お人形》が跡形もなく潰されてしまっていた。
まるで、何か大きな物に踏みつけられてしまったかのよう―――。
「アラクネちゃん……悪い事は言わない。王子様の気分を害するような発言は――控えた方がいい。それよりも《特別なお人形》はそろそろ出来るかな?」
「―――も、もちろんよ……愛しのリッくん。ほら、綺麗な金糸のドレスを身に纏った《お人形》が出来たわ――後は、リッくんが仕上げをすれば――ヤツラを引っ掻き回す準備は万端よ!!」
―――【アラクネ】が金色に光り輝く糸車を器用な動作で操る。そして、その後に完成した《金糸で作り上げられた呪いのドレス》を身に纏うナギを満足げに【金野 力】が見つめると何かを企むように厭らしくニヤリと微笑むのだった。
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