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~生意気な囚われエルフと呪いの金の糸車~

「さて、生意気だったエルフ君…………そのまま、こっちにおいで?そう、この金色に光り輝く糸車の方へ――よし、そこで止まって……」 ―――ペタ…… ――ペタ、ペタ………… 「よしよし、いい子だ――それじゃあ、そのままこの糸車の外側に貼られている忌々しい紙を、全て君の手で剥がすんだ。とても癪なことだけれど―――ぼくでさえ、この紙を触れる事が出来ないからね……さあ、お返事は?」 「かしこまりました………俺様の…………偉大なるご主人様……」 そして、今や操り人形と化したナギは戸惑う事さえなくスーツ姿の男の命令通りに金色に光り輝く糸車の外側に貼られている数十枚の紙を剥がし始める。 その数十枚の紙に赤い文字で【封・込・龍】と書かれている事に疑念を抱く事すらなく―――ナギはただ黙々と糸車の外側に貼られている紙を全て剥がすのだった。 ――――ドォォォォンッ!! と、突如―――大きな音と共に塔全体が地響きに包まれる。しかし、その非常事態ともいえる時でさえスーツ姿の男とその仲間達は愉快げに笑みを浮かべているのだ。まるで、こうなる事が分かっていたかのようだった。 「それじゃあ…………豪華絢爛なピクシーちゃん達、生意気なエルフ君のこと頼んだよ?」 「あんたたち、リッくんに言われた通り―――ちゃんとこの生意気エルフの命を守るのよっ……簡単に死なれちゃ、つまらないし……何よりもリッくんと永遠の愛を交わすヤツなんだからっ……あ~……ムカムカする!!」 「キューイ、キュイ…………ご主人しゃま……ハーピーの出番はまだなのでしゅか?早く、早く餌が欲しいのでしゅ……っ……」 立っていられない程の地響きが塔全体を激しく揺らしていたが、その割には周りの物が落下してきたり、瓦礫が落下してきたりはしていない。 しかし、まるで―――塔が生きているかのようにどんどんと大きさや形が変わっていく。 そして、そんな異様ともいえる状況でさえ―――操られているせいで理解出来なかったナギの上級に、二つの存在が舞い降りてきた。 人と余り変わらない大きさのピクシーが二匹で同時に抵抗出来ないナギの体を持ち上げようとしてくる。 一体は金色の体で銀色の透き通った羽を生やしており、そして――もう一体は銀色の体で金色の透き通った羽を生やしている。 「さあ、【ゴルド種のハイピクシーちゃん】と【シルバ種のハイピクシーちゃん】―――彼を《哀れなお姫さま》に相応しい場所へ移動してあげて。そうすれば、バカみたいに騒いでいた彼らも――きっと目を覚ます筈だからね~♪」 「それと、ハーピーちゃん……そろそろ餌の時間だ。例の場所で……ヤツラを迎え撃つ準備をしていてね。頼んだよ―――美しいハーピーちゃん!!」 主人であるスーツ姿の男の言葉を聞いたハイピクシーとハーピーはコクリと頷いてから愉快げに微笑みつつ金糸雀のように美しい歌声を辺りへ響かせると――それぞれ、何処かへと飛び立っていくのだった。

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