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~宴の後の思わぬ異変~

▽ ▽ ▽ ▽ ―――ドォォォォンッ!! 塔の内部を揺るがす程の大きな音が―――目を覚ましたばかりのボンヤリとした僕の耳に入ってきて慌てて体を起こす。 パラ、パラッ………… 不思議な事に塔の内部を揺るがす程に大きな振動音が聞こえてきた割には、周りに置いてある朽ち果てた家具や瓦礫といった物が降りそそいで危害を加える気配がない。 しかし、塔の内部に―――いや、もしかしたら塔全体に異変があるのは事実だ。 昨夜の酒盛りのせいなのか、ズキズキと痛む頭に苦しめられている僕にでさえ――塔が明らかに姿や大きさを変えているのが分かる。 今まで―――幼い女の子が好むようなイチゴのショートケーキのような可愛らしい壁紙にチョコレートのような石畳の床だった塔の内部が無機質な灰色のコンクリートの石畳と石壁へと徐々にだが変化してきている。 そして、大きさも今までよりも―――明らかにグングンと上へ、上へと伸びているのだ。 「おい、コイツら―――まるで石になったかのように動かねえぞっ……ったく、一体どうなってんだよ!!?今まで起きてたヤツラが……何で急に……眠りこけちまうんだ!?」 「違う―――違うよ、石みたいになったんじゃない……これは、【石化の呪い】だ!!おそらく、敵の攻撃だ―――とすると、この塔の異変も――何かの呪いかもっ……早く、何とかしないと!!」 呆然と立ち尽くしてしまった僕のすぐ側から、慌てた様子のホワリンとミストの声が聞こえてきた。そして、僕が不安げに彼らの方へ視線を向けた先には大勢の人間達が石像のようになり―――眠りに落ちている姿が見えた。 理不尽な理由でミラージュへと飛ばされた大勢の人間達と共に頼りがいのあるリーダーや―――あろう事か、セーラー服姿の少女までもが敵の攻撃である【石化の呪い】にかけられてしまっているのだった。

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