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~【一番偉い塔の支配者】からの有り難きお言葉を――聞くがよい~

――ザッ………… ―――ザッ、ザッ………… ようやく塔の異変が収まったかと思うと、優太達がいる部屋の前方に広がる真っ暗な廊下から―――奇怪としか言い様のない群集が慌てふためいている優太達の方へと行進してきて、ぴたりと足を止めた。 ―――数十人の動く鎧達がリズムよく行進してきたのだが、奇怪といえるのはその容姿だ。 ダイイチキュウで優太が想太と一緒に遊んでいたゲームの中に出てきた格好いい金色や銀色の鎧を身に付けた【動く鎧】とは訳が違う。 まるで白い真珠で出来ているかのような鎧を身に付けており、頭に被る鎧兜は苺のように赤く、手には銀色のフォークと――その他に銀色のナイフを持っている者もいた。 (な、何、コイツら……苺のショートケーキみたいな格好をしてる!?いや、そんな事よりも――早く此処から出て、塔にどんな異変が起きたのか確認しないと……っ……) と、我にかえった僕が急いでこの部屋から出るために駆け出そうとした時―――、 【あ~……あ~……はい、は~い……愚かなる皆さん――お久しぶりだね……え~とっ……ちゃんと聞こえてるかな?】 物凄い力で、この部屋から出ようとした僕の体を押し倒した【奇怪な格好をしている動く鎧】の鎧兜の中から【スーツ姿の男】の、どことなく愉快で尚且つ明らかに――ふざけている声が聞こえてくるのだった。

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