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ようこそ、【満天の星空の世界】へ①

【愚者である君らに《生意気な眠り姫》を救えるか、それともボクの彼に対する永遠の愛の誓いが勝るのか――とても見物だね。あの恐ろしい王子様も、これで退屈しなさそうだ。さて、退屈な説明は此れで十分かな?】 奇怪な姿の【動く鎧】に体を押さえつけられているのは、僕だけではない。その後、抵抗するのを諦めた誠と――そしてサンやミストや引田――そしてライムスも全員が【動く鎧】によって動きを拘束されてしまっていた。 ガルフさんは、リーダーやセーラー服の少女達と共に【石化の呪い】をかけられてしまった。スーツ姿の男にとってガルフさんは邪魔者でしかないという事なのだろう。それを自覚せざるを得ない僕は余りの悔しさから―――ぎり、と音が鳴りそうな程に唇を噛んだ。 【愚者には―――罰を!!とっておきの悪戯を!!】 【トリックオアトリート!!】 そんな僕らを嘲笑うかのように【スーツ姿の男】の塔の内部中に響き渡りそうな程の喧しい声が聞こえてきたかと思った瞬間に―――、 僕ら全員の体が宙に浮かぶ―――。 ふと、僕のすぐ側にいて珍しく慌てふためいているミストを見てみると先程壊れた床に降ってきた灰色の石壁の瓦礫が灰色の石で出来た鳥に形を変えた物から体を掴まれて上へ、上へと引き上げられている。 敵の魔法なのか呪いのせいかは分からないが何羽もの灰色の石の鳥達へと形を変えた元は瓦礫だった物が彼の体を掴みつつ、どんどんと塔の何処か上の方へと向かっているのが分かる。 情けない事に―――ただ、敵の為すがままに塔の上の方へと導かれる事しか出来ない僕らなのだった。

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