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ようこそ、【満天の星空の世界】へ②

▽ ▽ ▽ ▽ ドサッ……!! ドサッ…………!! 「い、痛……っ……!!」 僕らが【石鳥の姿となった瓦礫達】から強引に体を引き上げられ――そのまま暫くは塔の上へ、上へと移動していると唐突に【石鳥の姿となった瓦礫達】が動きを止めた。 そこには硝子や鉄格子などが嵌められておらず、開けっ放しとなった少し大きめの窓が存在している。 そして、僕らはその開けっ放しの窓から塔の内側へと勢いよく放り投げられてしまう。 「ここ、何処だろう……っ……?薄暗くて……何も見えないよ……みんな、みんなっ……そこにいるの?」 「……………」 「……………」 「……………」 おかしい、仲間からの返事がない―――。 仲間全員が今いる薄暗い部屋の中に放り投げられるのを、この目で見た筈なのに―――。 仲間の無事は心配だったものの、とりあえず僕はこの薄暗い部屋の中に手掛かりとなりそうな何かがないかを確認してみることにした。敵がわざわざ、この薄暗い部屋に僕らを招いたという事になにか特別な理由があるような気がしたのだ。 カラ……、 カラ、カラ…………、 と、何処かから何か巻いているような小さな音が聞こえてきた。僕はおそるおそる音のする方へと目を凝らしてみる。すると、まるで太陽のようにキラキラと金色に輝いている糸車が僕の目に映った。 その金色に光輝く糸車を目にした途端、何故か僕の意思に反して足がゆっくりと動き始める。 途中で―――トン、トンと意思に反して歩みを進める僕の頭に柔らかい何かが当たる事に気付き、ちらりと目線を上に向けてみた。 そこには、夜のように真っ暗な天井からキラキラと金色に煌めく星のような繭玉が幾つもブラブラとぶら下がっているのだ。しかも、その繭玉の僅かな隙間から力なくダラリと下げている人間の手や足のような物が見えている。 「…………っ……!!?」 悲鳴をあげたいのに、それすら叶わない――。 ただ、ただ―――金色の光り輝く太陽のような糸車へと一直線に足を進めて行く事しか今の僕には叶わないのだった。

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