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ようこそ、【満天の星空の世界】へ③

カサッ――― クシャ……ッ…… グシャッ――― 一心不乱に金色の糸車の方へと歩みを進めて行く途中、何か柔らかい物を踏んだ気がして―――おそるおそる下へと目線を向けてみる。 ゆっくりと目線を向けた先には、天井にぶら下がっている星のような煌めきを放つ繭玉が床に落ちていた。しかも、天井でダラリとぶら下がっている繭玉とは違い、まるで何か大きな物から踏みつけられてしまったかのように跡形もなくグシャグシャに破れてしまっているのだ。 「………ひ……っ……!?」 薄暗くて少し分かりにくいものの、その無惨に踏みつけられてしまったらしい繭玉の側に得たいのしれない破片(人間の指のようにも見える)を一瞬だけ見てしまったような気がして慌ててグシャグシャに破れてしまっている金色の繭玉から目を離した。 ―――すると、 【…………いつ……ま……で…………い……つ……まで……】 太陽のようにキラキラと煌めきを放つ金色の糸車のすぐ隣に大理石で出来た台があり、その上にポツンとダイイチキュウで占い師が使うような水晶玉が置かれており、しかも―――その水晶の方向から【いつまで】と同じ言葉が繰り返し聞こえている事に気付く。 【いつ……まで…………い……つ……まで……】 「なっ…………何でっ……また、また勝手に体がっ……!!?」 またしても自分の意思に反して、勝手にその水晶玉へと顔を近付け、中を覗き込もうとした時―――、 ―――シュルルルッ!! 「……き、金色の…………糸!?」 【うふふっ……大正解!!さあ、あたしが、この子の動きを封じ込めている今が絶好のチャンスよ―――しっかりやりなさいよっ……ハーピーー!!】 【キューイ、キュイ―――ハーピーの夢惑の息を食らうといいのでしゅ……っ……!!】 聞き覚えのある可愛らしくも忌々しい二つの声が何処からか聞こえてきたかと思うと、僕の足に天井に垂れ下がっている繭玉と同じ金色の糸が絡みついてきた。 慌てて逃げようとしたものの、両足に頑丈な【アラクネの金糸】が絡まって、びくともしない。もがけばもがく程に、がんじ絡みになり、尚更ほどけなくなっていくため無意味な抵抗をするのを諦めてしまった時―――、 ブシュァァァァッ~………… そんな僕を嘲笑うかのように水晶玉から目を離せなくなった僕の顔に、青白い靄がかかる。すると、以前ミストから話だけは聞いていた中級魔法《夢惑の一時》にかけられてしまったかのような強烈な眠気が襲いかかってくる。 おそらく、ハーピーが放ったのはミストが言っていた中級魔法《夢惑の一時》の亜種である魔法なのだろう―――。 そんな事を頭の中で思っていた僕だったが、時間が経てば経つ程に眠気は強くなり――やがて、そのまま意識を失ってしまうのだった。

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