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ようこそ、【満天の星空の世界】へ④
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バサッ――、
バサ、バサッ――、
僕が意識を取り戻し―――ゆっくりと目を覚ました時、まず耳に聞こえてきたのは鳥の羽音のような音だった。
その音の正体も気になったが、それよりも大切な仲間達の姿を探す事の方が気になった僕はガバッと身を起こすと、そのまま辺りの様子を確認してみることにした。
と、そこで僕は違和感を抱く―――。
僕の左手の手首付近に木の根っこのような物が巻き付いているのだ。そして、その根っこのような物は四方八方に延びている事に気付き、しかも少し離れた場所でグッタリと横たわって倒れている僕の探していた大切な仲間達の腕にも巻き付いているのが分かった。
困ったように上を見上げてみた僕の目に、幻想的で――まるで夢を見ているかのような光景が飛び込んできた。
真っ暗な空にはダイヤモンドのように小さいけれども豪華できらびやかな光を放つ星たちが空を埋め尽くしてしまう程にたくさん瞬き、サファイアのように透き通った満月が幻想的な夜空にぽっかりと浮かんでいる。
そして、その根っこの元と思われる大樹の木の枝に無数で、かつ―――宝石のように色とりどりの体躯や羽をを持つ鳥達がとまっている事に気付くのだった。
ルビーのように真っ赤な体躯や羽を持つ―――名前すら知らない美しい鳥。
アメジストのように魅力的な紫の体躯や羽を持つ―――名前すら知らない美しい鳥。
エメラルドのように深い緑の体躯や羽を持つ―――名前すら知らない美しい鳥。
その他にも、宝石のような綺麗な色の体躯と羽を持つ鳥の群れが、大樹全体を埋め尽くしてしまう程に枝にジッ微動だにせずに――ととまっているのだ。
【キューイ…………キュイ……ようこそ、満天の星空の世界……またの名を――ハーピーの餌場へなのでしゅ……たっぷり遊んであげるのでしゅ!!】
思わず色とりどりの体躯と羽を持った鳥達に見とれていると、その大樹のてっぺんから―――聞き覚えのある美しい声が聞こえてくるのだった。
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