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樹上のダンスと――仲間の目覚め②
誠も―――、
ミストとサンも―――、
引田とライムスも―――、
【ハーピー】が樹上で優雅なダンスを踊り、夜空に瞬いていた宝石のような星々がキラキラと各々の体へ降り注いできた後で、ようやくこの場にいる仲間達全員が目を覚ましたのだ。
「こ、ここは…………?」
「ち、ちょっと―――ここは一体どこなの?というか、ミスト達は塔にいた筈じゃ……っ……」
ようやく目を覚ました引田とミストは、すぐには状況を理解出来ないのか動揺しきっているようだ。まあ、ハーピー達から半ば強引に操られて此処に連れ去られてしまったのだから混乱してしまうのも無理はない。
「これは…………もしかして、敵の仕業か?」
「どうやら―――私達は一時の記憶を失っている間に――あの鳥女とやらの【世界】に招かれたようだ。ミスト、それに引田よ……あそこの大樹を見てみろ」
今の状況が理解しきれないせいで慌てている様子のミストと引田とは違い、誠とサンはどこか冷静に辺りを見渡して少しだけ何かを考えた素振りを見せてから―――ほぼ、二人同時に優雅に踊っていた動きを止めてジッと此方を見つめてくる【ハーピー】の方をミストと引田に指し示すように目線を向けるのだった。
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